14 とんかつ やまと 【前編】
西洋料理をヒントに生まれた日本の料理、とんかつ。全国で日常的に親しまれ、「好きな料理ランキング」でも上位に入るほどの人気メニューです。そのとんかつを、養豚から一貫して手がける会社の直営店として提供し、注目を集めているのが、神奈川県平塚市にある『とんかつ やまと』。生産者だからこそできるこだわりと、そのおいしさの秘密について、店長の木村周作さんに伺いました。

企業養豚のパイオニアとして。
現代の日本の食卓に欠かせない豚肉が、広く食べられるようになったのは明治時代以降のこと。戦後復興から高度経済成長へと向かうなか、神奈川県平塚市の曽我の屋養豚(現フリーデン)は、日本で初めて1000頭規模の多頭養豚システムを形にし、養豚を一大産業として発展させた。さらにアメリカで学んだ技術を公開し、日本の近代養豚の礎を築いてきた。
そんな歩みを重ねてきたフリーデンは現在、育種から加工、販売までを一貫して手がける。
東日本に点在する牧場や工場では、衛生や安全に関する認証も取得し、豚や働く人の環境に配慮しながら「安全・安心・おいしさ」を大切にしてきた。木村さんは、「子どもの頃からここの豚肉を食べて育ちました。地元では馴染み深い会社ですね」と振り返る。地域とともに歩んできた歴史が、その言葉ににじむ。
世界が評価する日本の銘柄豚「やまと豚」。

日本人の繊細な味覚に合う味と肉質の豚は、どのようなものなのか。そこに焦点を当てたフリーデンは、代表ブランドとなる「やまと豚」を誕生させた。
トウモロコシをベースにしたオリジナルの飼料と先進技術を取り入れ、豊かな自然の中にある農場で大切に育てられている。
「肉質がすごいんですよ。他の豚肉とはちょっと違いますね」と木村さんが太鼓判を押すとおり、きめが細かくやわらかい。
赤身はくせのない上品な旨みが広がり、脂身はさっぱりして甘く、風味の良さが際立つ。
その品質は世界でも高く評価され、トップシェフやソムリエが審査するITI(※)では12年連続で三ツ星を獲得し、最高栄誉であるダイヤモンド味覚賞も受賞。今や国内の高級とんかつ店でも数多く採用される銘柄豚へとなった。
「やまと豚」の旨みをとんかつで味わう。
フリーデンは「やまと豚」を多くの人に楽しんでもらえるよう外食事業も展開し、銀座や横浜に店舗を構えた。ところがコロナ禍により、事業の縮小を余儀なくされてしまう。そんななか「地元だけは残したい」と平塚で営業を続けたのが、2016年創業の『とんかつ やまと』だ。
「やまと豚」のポテンシャルを最大限に引き出す料理として選んだのが、とんかつだった。
生産会社直営の強みを生かし、安心・安全な豚肉をリーズナブルに提供できるのは大きな特長。フリーデンの外食部門で約20年腕を磨いてきた木村さんは、8年ほど前に同店へ。
親方のもとで修練を積み、店長となった今も「とんかつはシンプルだけど奥深いですね。同じ品質を保つことが難しい」と語る。
魅力が増す、居心地のよさと多彩なメニュー。

ゆったりとした居心地のよい空間で、ファミリーはもちろんランチに一人でも気軽に立ち寄れる同店。
店内には豚の置物が並び、受験シーズンには地元の学問の神を祀る神社のお札やだるまを飾るなど、「とんかつ(勝つ)」にかけた縁起担ぎで合格を応援。
そんな遊び心と温かみも、心地よさをいっそう深めている。
看板メニューは「やまと豚」のヒレとロース。厚みがありながらやわらかく、冷めても美味しいと評判だ。骨付きで豪快な「まさかりとんかつ」も隠れた人気メニュー。骨の周りに凝縮した旨みに惹かれ、虜になる客も少なくない。季節野菜や魚介のフライも充実し、「こんなに甘くてやわらかいとんかつがこの価格で」と喜ぶ声に「やりがいを感じる」と木村さんは微笑む。
サクサクの衣に隠されたヒミツ。
衣へのこだわりも『とんかつ やまと』の大きな魅力だ。使用しているのは、良質な一等粉で焼き上げたパンから作るオリジナルの生パン粉。糖分の配合や粒のサイズを細かくオーダーし、粗めでサクサクとした食感と香ばしいきつね色を生み出している。
「揚げ続けるとどうしてもパン粉が乾燥してくるんです」と木村さん。霧吹きで水分を補いながら、その日の状態に合わせて調整する。
小麦粉には塩や胡椒を独自にブレンドし、新鮮な卵をまとわせ、職人技の手つきでやさしく丁寧に衣をつける。細やかに火入れを見極めて揚げられたとんかつは、揚がりを待つ間に自らすりおろす胡麻や特製ソースとも好相性。肉の旨みがいっそう際立つピンクロックソルトや能登竹炭塩で味わうのもおすすめしたい。

絶品のとんかつを支える油選びについては、後半で詳しく紹介する。
※ ITI:国際味覚審査機構。毎年3月にベルギーで審査会が開催される。

とんかつ やまと
やまと豚の生産会社であるフリーデン直営のとんかつ店として、2016年にオープン。国内外で高い評価を得ている「やまと豚」を存分に味わえる一軒として、注目を集めてきた。
店長の木村さんが「すべてにもっとこだわりたい」と語るとおり、パン粉や揚げ油、ソースに至るまで一つひとつを丁寧に吟味。妥協なき姿勢で、理想のとんかつを追い求めている。
やまと豚の三ツ星獲得を記念したキャンペーンや、竹炭を使った黒いとんかつなど、発想の光る期間限定メニューも展開。積み重ねたこだわりが、ひと味違う美味しさを生み出している。

とんかつ やまと ららぽーと湘南平塚店
住所:神奈川県平塚市天沼10-1
ららぽーと湘南平塚1F 湘南Kitchen Street
電話番号:0463-86-6211
営業時間:
11:00〜21:00(土曜日のみ22:00まで)
平日ランチタイム 11:00〜15:00
※ららぽーと湘南平塚の営業時間に準ずる
定休日:ららぽーと湘南平塚に準ずる
席数: 56席(カウンター10席、テーブル46席)
ホームページ:https://www.tonkatsu-yamato.jp/
Instagram : https://www.instagram.com/yamato_hiratsuka/



