01　とんかつ 薩摩 四天王寺　【前編】

料理人は自分がめざす味を提供するために、常に最適な食材や調味料を求めています。そんなプロの審美眼にかない、納得する味を実現するのが綿実油です。この連載ではプロの料理人を訪ね、お店のこだわりやおいしさの秘訣とともに綿実油の魅力について話を聞いていきます。

大阪・四天王寺でこだわりの味が評判のとんかつ店。

聖徳太子が建立した寺院として有名な大阪にある四天王寺。その南大門から少し歩いてすぐの場所にある「とんかつ 薩摩 四天王寺」。店主の安原さんは長年大阪・梅田の商業施設内にあったとんかつ店の料理長を任された後、2022年に独立した。「すべてに満足してもらいたい」と食材から調理法までこだわり、揚げたてのとんかつにシャキシャキのキャベツとつやと甘みのある佐賀びよりを一緒に提供。口に運ぶと一気に幸せな気分になれる味を届けている。オープン以来、参拝に訪れる人や地域の人に親しまれているだけでなく「おいしいと聞いて来た」と口コミで訪れる人やリピーターも増えているそうだ。

鹿児島県産を中心にいろいろな地方の豚肉を選ぶ楽しさがある。

客を唸らせる味わいのとんかつに使用するのは、鹿児島県産の豚肉を中心に厳選した国産銘柄豚。クセがなくさっぱりした肉と甘い脂が味わえる『南州ナチュラルポーク』、柔らかい霜降り肉が特徴の『京丹波高原豚』などの定番6種以外に、数量限定の豚肉が登場することも。安原さんは「いろんな地方にある上質でおいしい豚肉を楽しんでほしい」と常にアンテナを張り、精肉業者と密に情報交換して“ご馳走になる豚肉”を仕入れている。「最近は新しい銘柄も次々出てくるし季節によって肉の柔らかさや脂の乗りが違うので、その時によって産地やブランドを問わず美味さを実感した豚肉も用意しています」。多彩なラインナップからどれにするか目移りしながら選ぶ時間も楽しいひとときになる。

豚本来の味と旨味を閉じ込めたサクッと軽やかな薄衣が絶品。

豚本来の味や旨味を感じてもらうために、下ごしらえは塩・こしょうの下味を付けずに行っている。とんかつに使うパン粉は同店オリジナルの生パン粉を使用。他店に比べると細かい薄衣が特徴だ。「パン粉は糖分が多いと焦げやすくなるので、少なめに配合してもらっています。うちのとんかつはパン粉が分厚くないから衣はあっさりめ。さらっとした綿実油で揚げるから、サクッと軽やかな食感に仕上がります」。

ロースやヘレを塩やしょうが醤油などでさっぱりといただこう。

アットホームな居心地の良さは店主の人柄が表れている。

ホールは安原さんの奥様が担当し、夫婦で切り盛りしている。店内はテーブル席とカウンター席の両方あり、ベビーチェアも用意するなどファミリー客も歓迎だ。お客様からの豚肉についての質問に答えたり、雑談を交わしたりとおふたりの人柄が伝わる和やかな雰囲気が流れている。「笑顔で食べている姿や喜ばれている様子を見ると嬉しいですね。お客様にご満足いただける良いものを提供するためにも丁寧な仕事を心がけている」という安原さんに、後編では綿実油を選び続ける理由や揚げ方のこだわりについて教えてもらった。続きをお楽しみに。