日本の食卓に欠かせないサラダ油、実は海外ではあまり見かけない日本独自の製品なのをご存知でしょうか。「サラダ油って何からできているの?」「どうしてサラダ油って言うの?」と疑問に思ったことはありませんか。
そこで、今回はサラダ油の誕生秘話や由来について詳しく解説します。サラダ油の歴史を知ることで、普段何気なく使っている調理油の奥深さに驚くかもしれません。
サラダ油とは
サラダ油は、日本の食卓に欠かせない調理油として広く親しまれています。一般的に、複数の植物油をブレンドして作られる油で、様々な料理に使いやすいのが特徴です。主に大豆油、菜種油、コーン油、綿実油などがベースとなっていて、これらをバランスよく配合することで、どんな料理にも適した万能油として仕上げられています。
サラダ油の最大の魅力は、その汎用性にあります。和食、洋食、中華、ジャンルを問わず幅広い料理に使えるので、家庭での使用にとても便利です。また、高温での調理にも適しているので、揚げ物や炒め物にも安心して使えるところも魅力の一つと言えます。
栄養面では、ビタミンEやビタミンKなどの脂溶性ビタミンを含んでいて、これらの栄養素の吸収を助ける役割も果たしています。さらに、製造過程で精製されているので、不純物が少なく、長期保存が可能なのも特徴の一つです。
サラダ油は、どんな調理方法にも対応できる使いやすさと価格から、多くの家庭で愛用され、日本の食文化に深く根付いた調理油です。
選ばれたものだけがサラダ油
綿実サラダ油と表示できる製品は、実はJAS(日本農林規格)の厳しい基準を合格したものだけなんです。
JASの規格では、サラダ油は「0℃で5.5時間以上清澄=濁らない油」と規定されていて、低温で濁らないよう脱ロウ処理などをしています。また、サラダ油の原料として使用できる植物油脂の種類も規定されていて、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ひまわり油、サフラワー油、ごま油などが含まれます。これらの油を単独もしくは、複数の油をブレンドして製造することが認められています。
このようにJASの規格によって厳密に定義されているサラダ油は、日本の食文化に深く根付いた独自の調理油と言えるでしょう。品質管理が徹底されているため、安心して日々の料理に使用できる点も、多くの家庭で愛用される理由の一つとなっています。
サラダ油の由来
サラダ油という名称は、実は日本独自のものです。その語源は、1920年代に遡ります。当時、西洋では生野菜に塩や酢を加えた食用油をかけて食べていましたが、日本では生野菜を食べる習慣がなく、油は主に揚げ物に使われていました。高温での調理を想定した油は、低温では固まってしまうため、サラダには向いていませんでした。そこで開発されたのが、低温でも濁ったり固まったりしないサラサラした油「サラダ油」でした。
当初は、生野菜を食べるための油としての「サラダ油」の一般家庭への浸透はそこまでなかったようですが、「サラダ油」がマヨネーズの原料や揚げ油として使用できることが紹介されると徐々に一般家庭へ普及していきました。
日本独自に発展してきたサラダ油の特長
日本独自の発展を遂げたサラダ油。その特長は汎用性にあります。和食、洋食、中華と幅広い料理に使用でき、また高温調理にも適しているため、天ぷらやフライなどの揚げ物にも重宝されます。さらに、クセが少なく食材本来の味を引き立てる点も、日本人の繊細な味覚にフィットしたと言えるでしょう。
このように、日本の食文化や生活様式に合わせて進化を遂げたサラダ油は、海外では見られない独特の存在となっています。
サラダ油の種類
サラダ油には、主に植物性の油を原料とした複数の種類があります。代表的なものとして、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油などが挙げられます。これらの油は単独で使用されることもありますが、多くの場合はブレンドされてサラダ油として販売されています。
- 大豆油:たんぱく質が豊富な大豆から抽出され、クセが少なく使いやすい油
- 菜種油:さっぱりとした風味が特徴
- コーン油:トウモロコシの胚芽から作られ、淡泊な味わいで幅広い料理に合う
- 綿実油:綿の種子から抽出され、クセが少なく酸化しにくい油
これらの油をブレンドすることで、それぞれの長所を生かしつつ、バランスの取れた風味と栄養価を持つサラダ油が生まれます。ブレンドの比率は製造元によって異なり、それぞれ独自の配合で製品化されています。
サラダ油の王様:綿実油
様々なサラダ油がある中で「サラダ油の王様」と呼ばれるのが「綿実油」です。
綿実油は、古くから日本で親しまれた食用油でしたが、綿花の栽培の衰退とともに綿実油の生産量も減少し、現在国内で綿実油を原料から製造しているのは岡村製油1社のみとなりました。
綿実油は綿実のみを原料としており、酸化しにくく安定性に優れていることや、クセのない淡白な風味で料理を引き立てることから、プロの料理人にも愛用されいます。また、抗酸化作用のあるビタミンEや、LDL(悪玉)コレステロールを減少させる働きのあるリノール酸などを豊富に含み、健康面でのプラスの効果も期待できるプレミアムな油です。
まとめ
サラダ油は日本人の繊細な味覚や料理へのこだわりから、独自の発展を遂げた食用油です。どんな料理にも使いやすい油ですが、その原料によって風味や栄養素が異なることも特長の一つ。健康面、料理の仕上がり、使いやすさなど好みに合わせて使い分けてみるのも楽しいかもしれません。