カラダにいい油「綿実油」とは?その成分やメリット・デメリットを紹介

「綿実油」!?江戸時代に日本の各地で盛んとなったワタの栽培に由来する食用油ですが、よくご存知ない方のほうが多いかもしれません。「食用油」と言うと「太る」「健康に悪い」といったイメージがありますが、「綿実油」はカラダにいい油の代表的存在「えごま油」などと同様にカラダにいい成分を多く含む食用油なんです。
今回は、あまり聞き慣れない「綿実油」について、製造過程や成分、メリット・デメリットをわかりやすく紹介します。

綿実油ってなに?

読み方は「めんじつゆ」。文字通り綿の種子からできる油です。古くから日本にある食用油ですが、実は今日、国内で綿実油を原料から製造しているのは岡村製油だけです。大阪府の東の地域(現在の柏原市や八尾市)では江戸時代の後半からワタの栽培が急速に広まり、一時は全国一の生産量を誇っていました。そのワタの種を利用して油を搾ることを始めた工場は少なくありませんでした。しかし、原料の調達が難しくなるなど時代の変化ともに1社、また1社と撤退していったのです。

綿実油の製造は、糸の原料になる繊維を刈り取った後の種から始まります。このワタの種を割って、硬い殻と油を含んだ中の実の部分に分けます。次に実の部分を加湿、加温して油が出やすい状態にしてから、一気に圧力をかけて搾り出すのです。搾ったばかりの油は色が濃く、夾雑物を含むので、これらを取り除いて透明度のある油に精製します。そして最終過程でほぼ無味無臭の食用油に仕上げます。このように綿実油製造には多くの工程があり、手間と時間がかかっています。
また、油を搾りだす際に出来る搾りかすは肥料や飼料になります。この他、殻の部分もキノコの栽培などに利用されており、捨てるところがありません。資源の有効活用という点でも注目に値するでしょう。

綿実油の特長

綿実油は高温に強く、揚げ物や炒め物などの調理に適しています。また、臭いはまろやか、そしてクセのない淡白な風味が特長で、「食材本来の味を引き立てる」と、プロの料理人の方に愛用されています。天ぷらやフライはカラッと揚がり、胃もたれしないのが「綿実油」の一番の特長です。また、加熱調理の時に油酔いしにくいのも嬉しいポイントです。
さらに、ドレッシングやマヨネーズなどの調味料、ツナ缶、手延べ素麺などにも使用されており、意外とわたしたちの身近にある食用油なんです。

綿実油のメリットとデメリット

健康的に美味しい料理を楽しむために、綿実油を使うメリットと、気をつけるべきポイントを紹介します。

メリット

  • 健康面
    抗酸化作用があるビタミンEが豊富です。また、悪玉コレステロールを抑える効果が期待できるオレイン酸やリノール酸が含まれています。
  • 調理面
    高温調理でも油が劣化しにくく、揚げ物や炒め物に最適。さらに、料理の味を邪魔しない軽い風味が特長です。

デメリット

  • 他の植物油に比べて少し高価。
  • 他の食用油と同様にカロリーが高いので、食べ過ぎには注意が必要です。

綿実油は、ポイントをおさえつつ使用することで、健康面でのメリットも得られる食用油です。

まとめ

綿実油は、その特性と栄養価から、料理の幅を広げる魅力的な選択肢です。特に揚げ物と相性がよく、プロの料理人からご家庭まで幅広く愛用されています。もちろん、他の食用油同様に適量を心がけることは大切ですが、その特性を理解して適切に使用することで、より健康的で豊かな食生活を楽しむことができるでしょう。ぜひ、綿実油を上手に使って、毎日の料理を楽しんでくださいね。