残さず全部使ってしまいたいと思える、旨みを含む油

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05 ふくや【後編】

日本初の明太子を作って販売した、明太子メーカー「ふくや」。ニーズに応えるべく、常温で持ち運びしやすく保存もできるものとして、再び日本初となる油漬けの明太子も生み出しました。そこで要となったのが、綿実油。後編では、明太子と綿実油の相乗効果や魅力について伺ったお話をご紹介します。

綿実油と明太子の旨味がぎゅっと詰まった大人気商品『ごはんとまらんらん 明太子』。しっとり滑らかな口当たりなのかに感じるプチプチの粒感も楽しく、食欲をそそられる。

素材の味を活かす油として、綿実油が第1候補に。

明太子入りのツナ缶『めんツナかんかん プレミアム』の開発時、明太子を混ぜるとツナ缶の大豆油ではしっくりこなかった。そこですぐさま白羽の矢が立ったのが綿実油だ。

「綿実油は明太子の味を邪魔しないだけでなく、クセも主張もないのにコクと旨味がありました。しかも明太子自体の旨味も引き上げてくれるんです」と原口さんが言うようにとても相性が良く、「明太子に合う油は綿実油」という認識が生まれた。
続いて行われた『缶明太子』の開発でもまずは綿実油を試したようで、「明太子とこれ以上に相性が良い油はないのでは」と思うほど、素材の味を一番活かす油だと実感に変わったという。

油も捨てず、調味料として活用するお客さまのアイデア。

『めんツナかんかん プレミアム』の油も調味料としてそのまま全部使ったレシピを、お客さまが紹介してくださることもあった。オイルカットなど油を控えようとする風潮もあるなかで、真逆の発想だったため社員の喜びに変わった。
「全部使ってしまいたいと思っていただけるのはとてもありがたいこと。飲みたくなるというか、最後まで残したくないと思える油ってなかなかないですし。綿実油は嫌厭することなく、むしろこれを使って料理がもっとおいしくなったと思えるようなおすすめの油ですね」。
油の域を超えた、まるで最上級の調味料のようだ。

評価の高い、明太子と綿実油との相乗効果。

おすすめ商品を尋ねると、「『味の明太子』と『ごはんとまらんらん』です」とのこと。
『ごはんとまらんらん』は、お土産や贈答仕立てにしていた『缶明太子』を、家庭の食卓で使いやすいよう仕様や価格設定を工夫した商品。
調味料選手権2022 で「審査員特別賞」を受賞するなど、ごはんのおともとして高い人気を誇っている。

「瓶の中に明太子と綿実油の旨味がぎゅっととじ込められているので『まずは明太子の粒で一杯、そのあとに残った油で一杯と、油まで全部ごはんと一緒に食べたくなる』とのお声をいただいたのは、とても嬉しかったです」と原口さんは振り返る。
辛いものが苦手な小さなお子さんもおかわりを求めるほど、まさにごはんが止まらなくなるようだ。

活躍の場が広がる、明太子と綿実油の未来。

油なのに軽く、素材の旨味を閉じ込めて臭みもないところが非常に魅力的な綿実油と明太子の組み合わせ。油漬けの登場で、保存もきくので明太子の活躍の場は広がった。
『缶明太子』をスティック状にした『味な油漬け どこでも明太子』は個包装になっているので、「お弁当と一緒に持っていくこともできるようになりました」とのこと。

明太子の新しいおいしさと可能性を開いた綿実油とのコンビネーションは「さらに世界観を広げて強化していきたい」との想いから、新商品の開発も進行中。
「『福岡に来たから明太子を買いたいね』と思ってくださる方にも、気兼ねなく持ち帰っていただける商品のご提案をしたいですから」。

「ふくや」らしい味わいの今後の商品に、ますます期待が高まる。

博多の街から、全国の食卓へ。

「先代は『明太子は総菜だ』と言っていたのですが、明太子を本当の意味で総菜にしていくことや、価格、形態、日持ちも味も含めて皆様が手に取りやすいよう、毎日食べたいと思っていただけるよう商品づくりをしていきたい」との原口さんの展望を伺いながら、中州にある本店を訪ねてみた。

『味の明太子』をはじめ、明太子を使った商品がずらりと並ぶ。もちろん綿実油を使った商品も顔を並べている。
うどんやお菓子など、見ているだけでも楽しくなるほどバリエーションも豊富だ。
「福岡に来られた際には、明太子、もしくは油漬けの明太子をぜひお買い求めください」と原口さん。博多を訪れたなら、ぜひ足を運びたい店のひとつであることは間違いない。

明太子メーカー  株式会社ふくや

1948年、福岡県・博多で食料品卸の会社として創業。創業者の川原俊夫氏が韓国・釜山で食べていた「たらこのキムチ漬け」を思い出し、日本人に合うよう研究を重ね、日本の明太子の元祖となる「味の明太子」を完成させて製造販売を開始した。明太子だけでなく食品の小売りと卸業も行い、業務用スーパーも展開している。博多の食と文化の博物館「ハクハク」も開設し、運営中。地域社会への貢献を重視した経営を行いながら、時代とともに変化し、ニーズに合わせた新商品や地元のサッカー・野球チームをはじめアイドルや映画、イベントなどとのコラボ商品を多数生み出している。

株式会社ふくや

住所:福岡市博多区中洲2-6-10(本社・中州本店)
電話番号:0092-261-2981(中州本店)
営業時間:月〜金 9:00~22:00、土・日 9:30~18:00(中州本店)
定休日: なし(祝日の営業時間 9:30~18:00)
※本店ほか、直営店28店舗+ECサイト有り
Website:https://www.fukuya.com